【社長コラム】イノベーションの流儀   第12回 忖度ができない

【社長コラム】イノベーションの流儀   第12回 忖度ができない

新年明けましておめでとうございます。

「一年の計は春にあり」の諺通り、皆さんもそれぞれ今年の目標を立てられたと思いますが、私の目標は「人が育つ組織づくり」です。
皆さんもよくご存知かと思いますが、昨年の流行語大賞にもなった「忖度」は、その「人が育つ組織づくり」の阻害になるものです。
そもそも忖度と言う言葉は、中国で西暦210年に書かれた『述志令』の中で記されたものだそうです。
不祥事を引き起こす企業は、この「忖度文化」に侵されているような気がします。

さて、前回は本社に戻って新しい組織を立ち上げてからの悪戦苦闘する話をしました。
11年間小さな組織で好きなようにやってきましたし、
社員も社長に忖度することなく自分の意見が言える組織を作ってきたつもりでしたので、
大組織に戻ってからのギャップに苦しんだことをよく覚えています。

何が正論かではなく、誰が言っているのかで物事が決まる空気に息苦しさを感じたものです。
今思えば現場以外の経験のない叩き上げの私が勝手にそう思い込んでいたのかもしれませんが。

そんな中で、前回出てきたグループ会社の社長とは、たびたび確執があったものの、
本音で話が出来たこともあって、その後もお付き合いをいただいています。
その社長は会社を成長させようと必死だったからこそ共感できたのだと思います。
事を何でも穏便に済まそうとする多くのサラリーマンよりも、ある意味で尊敬できました。
実はこの社長とは以前から少なからず因縁がある方で、私が現場にいた頃、ある顧客を巡って発生したトラブルの当事者同士でした。

私がまだ平社員の時代の話です。
私は知らなかったのですが、
その社長が現場にいた頃は、法人営業をしている社員の間では知らない者はいないというほどで、
数々の武勇伝を残す強面の営業マンだったようです。
どこまで本当かは分かりませんが、街を歩いているとヤクザも道を譲ったとか、
反社会的勢力の団体とは知らずに受けた仕事でその組織に乗り込んでトラブルを収めたとか、
尾ひれはついているかと思いますが、確かにそんな雰囲気を醸し出している方でした(苦笑)
先方の支店に訪問した時、同行した上司がかなり緊張していたところを見るとまんざら嘘ではなかったかもしれません。
でも、今も彼を慕う社員が多いことからも、情に厚い方だったことは確かです。
その現場時代の後、当時の本社で新規事業開発に取り組んでいた時も、その方とはある件でもめたこともあり、
つごう3回もトラブルを起こした相手でした。妙な縁を感じたことをよく覚えています。

そんなこともありながら新組織を立ち上げてからの1年半の間、自分の業務以外でも法人事業関連の相談を受けると、
その部署のメンバー達と泊まり込みで熱い議論を戦わせたり、自ら教育プログラムを作ってしまったりと、
お節介が過ぎて自分で自分の首を絞めていました。

一方で、忖度ができない私は本社役員や幹部とぶつかることも多く、 本来の業務では悪戦苦闘の毎日を過ごしていました。
小さな会社を経営していた時代は、異業種交流会を通じて知り合ったベンチャー企業経営者や役員などの社外との付き合いが大半でしたが、
それが一転、社内調整に忙殺される毎日でした。

そんな中でも、それぞれの事業に手応えを感じ、これからという時に、また新しい組織の設立準備を命じられました。
メンバーの意識も変わり、組織が活性化し、やっと軌道に乗って来た矢先の話です。

法人専門の新組織を立ち上げてから1年になろうとしている頃には、私が着任する前から取り組んでいたビジネスも大きく成長し始め、
萌芽段階のニュービジネスにも本格的な投資をする時でしたから、その異動命令に悔しい思いをしたことを良く覚えています。

その異動先は、私が現場にいた頃の既存事業そのものの組織です。
成功体験で固まった本流も本流の組織で、グループ全体の収益を支えていると言っても過言ではありません。
でも将来性のある成長事業かと言ったら、その答えは「NO」です。

次回は保守本流の組織に戻ってからの波乱万丈の話をしたいと思いますので、ご興味のある方は、またのご来訪をお待ちしています。