【社長コラム】イノベーションの流儀   第9回 経営の羅針盤

【社長コラム】イノベーションの流儀   第9回 経営の羅針盤

皆さん!こんにちは!

夏本番を迎え、猛暑日が続く中、どうお過ごしでしょうか。
生産性が最も落ちるこの時期を乗り切るカギは、リフレッシュ出来る時間をなるべく多く取り、
限られた時間に集中することのような気がします。
私は何回かに分けて休暇を取り、オンとオフを明確に分けて心と体の洗濯をするつもりです。
皆さんには是非、旅をお薦めします。
その際には弊社グループ会社のJCBトラベルにご用命ください。
旅行のみならず、グルメ、ゴルフ、エンターテインメントまで、
皆さんのニーズにマッチしたプログラムを提供させていただきます。
冒頭、弊社グループ会社の宣伝になってしまいましたが、ご容赦ください。

前回の続きの話をしましょう。
社長としてひたすらに営業数値だけを追い続け、ようやく一定の目途が立った頃、
プロパー社員達から渋谷の貸会議室に呼び出されました。
その時の光景は今でも鮮明に覚えています。

プロパー社員の代表として、関西弁が抜けない社員の口から出た言葉は、
「川村さん!私達は理念もビジョンも持たない社長にはついて行けへん!
 それが出来ないのなら辞めさせてもらいます!」でした。

最初その言葉の意味が理解できませんでした。
「赤字が続けば債務超過に陥り会社が無くなるのに、この連中は何を悠長なことを言っているのだ!」
と心の中で叫びました。
でも、ここでプロパー社員全員に辞められたら会社は立ち行かなくなりますから、
自分の言葉は飲み込み、なんとかその場を収めました。

当時では異例だった全社員の年俸制を導入し、成果に応じた賃金を支払うことで社員に応えれば、
社員のモチベーションを上げられるという目論見は完全に外れてしまいました。
他にも20年前にして360度評価など先進的な人事制度を導入していたのですが……
モチベーション向上を謳う会社のプロパー社員が全員退職では笑うに笑えない話です。

そんな事件があった後、全社員で経営理念や将来の会社の在り方やビジョンについて議論を重ねました。
もう一度原点に戻って事業を立て直したのです。
その何年も後に「企業理念の浸透と社員のパフォーマンス」というテーマで調査プログラムを販売するまでに会社が成長するとは、
もちろん当時は想像もしていませんでした。でもこの話は私がこの会社を去った後のことです。

私はこの経験から、経営者として理念とビジョンを持つことの重要性と、
人は地位や報酬だけではついてこないことを社員から学びました。
それが今でも私の経営の軸になっています。
その後の新組織立ち上げや新会社設立の時、まずは経営理念、ビジョンを作り上げることから始めるようになりました。
会社の存在理由、在り方、真の顧客は誰なのか、事業に社会性はあるのか、事業の「選択と集中」など、
会社や事業の本質が少し見えるようになったように思います。
すべての経営における決断の軸であり、企業ブランドを作る上での根源的なものは、この経営理念とビジョンに他なりません。

「理念経営」と言う言葉があるように、「理念」と「経営」は切っても切れない関係にあります。
私は経営理念の必要性を説く際、老舗企業の例をよく用います。

3年程前、ある研修会社が主催するイベントで、「100年企業を支える人財力」と言うテーマの講演をした際、
老舗企業の長寿の秘訣なるものを調べてみました。
皆さんは日本に100年企業、200年企業がどのくらいあるかご存知ですか?
100年企業は26,144社、200年企業は3,146社もあります(出典:帝国データバンク)。
お隣韓国・中国は数えるほどしかありません。

その100年企業に今後生き残るために必要と考えるファクターを調査した結果、
「信頼の維持・向上」「進取の気性」「品質の向上」が上位3つに挙がりました。
この中にある「進取の気性」「品質の向上」は、老舗企業であっても時代や市場の変化に対応または先取りし、
常に品質にこだわりながらも新しい商品やスタイルを提案するなど、
まさにイノベーションし続けて来たからこそ生き残れたことを表しているのではないでしょうか。
そして100年企業、老舗企業が一番大切に考えているのが、「信頼」という言葉です。

では、その「信頼」を100年企業はどうやって築いているのかを考えると、
それは代々継承されている家訓や社訓・社是、いわゆる経営理念に基づいて経営されているからではないでしょうか。
ある調査でも、経営理念をしっかり持っている企業と理念のない企業では、
収益率や収益の増加率に大きな差が出ているという分析結果が報告されており、
経営理念に基づいた経営がより重要だということが、よく分かると思います。
いま日本で起きている大手企業の不祥事の多くは、経営理念という羅針盤を失った結果が招いたものだと思いませんか。

今回は真面目な話でつまらなかったかもしれません。
最初に作った会社で起きたことは、なかなか文面にしづらいものばかりですので、これ以上はご容赦ください。
目の前で自分が差し出した名刺が破られるような事件もありました。
そのような話はコラムに載せられませんので、個別にお会いするような機会がございましたら、質問してみてください。

来月は夏休みを取らせていただきますので、続編は9月以降に掲載させていただきます。
次回は社内ベンチャー企業から大企業に戻ってからのエピソードを中心にしたものとなりますが、
ご興味がありましたら、またご来訪ください。